昨年(2012年)もミネソタ州のレッドウィングの工場視察、タンナーの視察をさせていただいた。
おおまかではあるが、少しでも核心に触れる事実もわかってきた。
この一足のエンジニア。
艶があり、非常に茶色が強い。我々が『茶芯』と呼んでいた一足。
これはうちのスタッフが履いているブーツ。
キメが細かく非常に革質が良い。
この艶は元からの艶であり、オイルやクリームで艶を与えたものではない。
長年にわたりS.B.FOOTを指揮し、マスタータンナーと呼ばれる、アンディラインさんとお話をさせていただく時間を頂いた。
レッドウィングのクリエイティブディレクション担当マネージャーにお聞きしたところ、一番詳しい人のようだ。(会議室の写真がなくてすいません。)
『何故、この2268のブラッククロームは通常のブラッククロームと違うのか?』
シンプルなこちらからの問いだ。
それに対し、ブーツを見ながら、
『この革はフィスターフォーゲルの革だ。』
と一発で断言したのだ。
原皮からの違い。
S.B.FOOTがステアハイドで、ブラッククロームを造っていたのに対し、P&VはHEIFERレザーでブラッククロームを造っていたようだ。
フェファレザーは、妊娠、出産をしていないメスの牛。
S.Bが一次なめしの後、ウェットブルーの段階で革のグレード分けをし、各々適した工程へ進めるのに対し、P&Vは一次なめしの後、全て茶色に染め上げている。
すでにこの段階で、芯が茶色いので、この一種類の革にこだわりを持っていたP&V社の革は、茶芯ということになる。
・ステア→去勢された生後2年以上の牡(食用)
・ブル→ 生後3年以上の牡(種付け牛)
・カウ→ 牝の成牛(乳牛)
・カーフ→生後6カ月以内の子牛
・フェファ→妊娠、出産をしていない牝の牛
『キメが細かく、非常に革質が良い。』
と言っていた。
Great!!を連発していた。
『ただ、価格が非常に高かったのを記憶している。』苦笑
我々がこれまでに『茶芯』と呼んできたものの基準の1つに『顔料がのりきらない』としているところがある。DEADの状態でも若干色の違いがある。
これを、染色、顔料の方面からではなく、染められる、塗られる側(素材)から考えてみる。
人間でも、若い女性の肌は、『きめ細かく滑らかで水を弾くほどのハリがある』と大人の女性がうらやむ。
死んでいる牛の皮であり、すでになめされているとはいえ、フェファ(出産前や妊娠歴のない牝)レザーが、ステアの牝の成牛のそれよりも繊維がきめ細かく、顔料がうまく乗りきらないというようには考えられないだろうか?
会議室で話をしてくれたアンディ氏が、スタッフの2268を見て『P&V』と断言したのは、それまでに数え切れないほどの、自社、他社のブラッククロームを見てきた氏だからこそ、その明らかな質感の違いを知っていてのことだろう。
P&Vから革を買っていた時代も知っている氏の判断は信ぴょう性が非常に高い。
中古市場でも、極端に数少ないのは、値段が高く、大量には仕入れてなかったであろうP&V社の『フェファレザー』を使用したものだけがそれだからなのではないだろうか?
S.Bのブラッククロームも非常に良いと言っていた。
P&Vでは、最盛期には1日15000枚のなめしをおこなっていたらしい。
このように見比べても色味から艶がちがうのが分かる。
我々が茶芯と呼んでいたもの、それを分かっていたマニアの方、
P&V(PFISTER&VOGEL)の革のようです。
もうすこしP&Vを調べてみます。
我々が茶芯と呼んでいたもの、それを分かっていたマニアの方、
P&V(PFISTER&VOGEL)の革のようです。
もうすこしP&Vを調べてみます。
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